【レビュー】AirPods Maxを聴覚過敏者が使ってみた感想と性能・遮音について

AirPods Maxって値段以上の価値はあるのかな? 性能や遮音効果は気になるけど、実際に使っている人の意見を参考にしたい。

本記事は、ご覧の疑問に向けた内容です。

こんにちは。YAITAです。

2022年11月、精神的疲弊と重度の鬱状態によって倒れてしまい、この頃から特定の音が大きく聞こえたり、痛みを伴ったりと異変を感じるようになりました。翌月(12月)に入院。

耳鼻科と精神科の両方で精密検査をしたところ、医師からは「精神的ストレスによる聴覚過敏です」と診断され、退院した現在も治療を続けています。

以降、常時イヤープラグ(耳栓)をつけての生活が始まりました。もちろん、ブログ執筆中の今もです。

普段ではLoopのイヤープラグ(Experience Plus)を愛用し、外出時や煩い場所ではAirPods Proで対応しています。

とはいえ、煩い場所や人混みの多い場所には近寄らない日々です。ノイズキャンセリング機能が備わったイヤホンでも限界はあります。

そこで、AirPods Maxに以前から興味を持っていたんです。

なので、性能や遮音性、使い勝手など値段の価値がある商品なのか?を確かめてみました。

購入前に近くのApple Shop(とはいえ車で片道2時間ほど)まで出向き、サンプル品を視聴した上で購入しています。お高い商品なので、実際に確かめてからでないと納得できませんでした。

今回は「AirPods Max」をレビューしていきます。

AirPods Max|空間オーディオと付け心地の良さに驚愕

AirPods Max(スペースグレイ)をメルカリにて購入しました。

使ってみて驚いたのは、空間オーディオの凄さとつけ心地の良さです。「重い」という意見もありますが、長時間つけていても疲れを感じにくく、私には快適でした。

遠くから音が聴こえてくる感覚

高音から低音といった音質の高さはもちろんながら、まるで、遠くから音を出している感覚。耳元で音が出ているように感じません。

演奏する楽器によっては、聞こえてくる方角や振動が伝わる感覚を得られます。Apple公式では「まるで、映画館にいるような感覚」と例えていますが、納得の表現です。

ヘッドホンの外から音がする(ペアリングしてないんじゃないか?)と勘違いしてしまうほどです。

耳全体を覆う“オーバーイヤー型”のヘッドホン購入は人生で3回目ですが、こんな体験は初めてでした。AirPods Proを初体験した時も驚きましたが、Maxも驚愕の音質と空間を提供してくれます。

また、ヘッドホンを耳から外せば自動で楽曲を一時停止し、15秒以内に戻せば一時停止を解除する機能も備わっており便利です。

とはいえ、苦手な音も音質よく聞こえます。私の場合、金属や陶器などが触れ合う高音が苦手なので、聴覚過敏の人に限って言えば、聴く音楽や映画・動画などでは注意が必要です。

メガネをつけていても疲れにくい抜群のつけ心地

メガネを愛用される人は、ヘッドホンの使用に敬遠しがち。なぜなら、ヘッドホンでメガネの先セル(耳元にかける部分)が圧迫されてしまい痛みを伴うからです。ですが、AirPods Maxは通気性の良いイヤークッションで優しくフィットし、長時間の使用でも痛みを感じにくくしています

私は外出時にメガネをつけますが、マスクとメガネの上にAirPods MAXで移動している状態です。日課にしているウォーキング(約1時間半ほど)中、ずっとMaxをつけていても痛みを感じませんでした。

イヤークッションのフィット感には、本当に“素晴らしい”の一言。

価格面で大きな差があるので当然ですが、以前に使っていたイヤーマフとは比較にならないレベルです。

なお、イヤークッション部分は簡単に取り外し可能で、交換もできます。マグネットで固定されているので、軽く引っ張るだけ。装着時も向きを合わせて添えるだけでしっかり固定されます。

384.8gの重さが苦にならない

本体の重さが約400gと重さを懸念している意見を見かけました。実際のところ、重くて疲れるといったことはありません。上部キャノピーは広めに作られており、大部分がメッシュ素材です。広いキャノピーのおかげで頭頂部への負担を分散できます。

上述している通り、ウォーキング中に使っていても疲れを感じません。通気性も良いので、キャノピー部分が汗ばむこともありませんでした。

ただし、ウォーキングでイヤーカップ内部が汗ばむのを確認しています。特に、夏場の外では大変かもしれません。

AirPods Max|聴覚過敏者が体感してみた遮音性能

画像引用:Apple(日本)

AirPods Maxのノイズキャンセリング能力は極端に高くはないかな?という感想です。体感的には-20〜-25dB程度で、Loop Experience Plus(最大-23dB)やLoop Quiet(-27dB)と比べると、大きな差は感じませんでした。

AirPods Maxは、イヤーカップによる物理的な遮音(パッシブノイズキャンセリング)と、内蔵されたマイクで周囲の音を感知し、逆相を発することで遮音する(アクティブノイズキャンセリング)機能が備わっています。

2つのノイズキャンセリング効果で周囲の騒音や音を低減できるのは事実です。

アクティブノイズキャンセリングの仕組みは、正相の音に対して真逆になる位相(逆相)をぶつけることで、ノイズを相殺するということです。周囲の騒音に邪魔されにくく、あなただけの空間を楽しめます。

人の話し声がおよそ50dB程度。ノイズキャンセリングしたAirPods Maxで、家族の会話は聞き取れました。もちろん、音楽を再生している状態では“ほぼ”聞き取れません。

外部音取り込みモードにすれば、イヤホンを付けながらでも周囲の音や会話声も普通に聞こえます。聴こえる音楽の質はそのままに、外部の音を取り込みながらの移動も可能です。

長時間付けていても痛くないイヤーマフとして超優秀だが…

上述していますが、イヤークッションは耳にとても優しくフィットし、長時間の装着でも疲れにくいです。

私もイヤーマフを使っていた時期がありました。締め付け具合は丁度良いものの、メガネを付けながらの装着は痛みを伴うため、この部分がネックだったんです。

AirPods Proをつけ、その上からイヤーマフをつける荒技をしていた時期もありました。ですが、イヤーマフの締め付けによってAirPodsが圧迫され痛みを伴ったので、おすすめできません。

とはいえ、イヤーマフとしてAirPods Maxを買うには高額過ぎます。また、AirPods Maxはイヤーマフに比べてコンパクトなものの、“目立つこと“に変わりありません。

「目立つのはちょっと…」という人は、目立たず遮音できるLoopのイヤープラグがおすすめです。

注意!AirPods Max(イヤーマフ含む)とイヤープラグ(耳栓)の合わせ技は危険

イヤープラグ(耳栓)を付けつつ、AirPods Maxやイヤーマフをつけることで遮音性を高められますが、おすすめできません。

遮音性が高すぎて逆に危険だからです。体感では約-45dBほど低下させ、音楽を流さなくても会話はほとんど聞き取れません。特に、外出時では後方から近づく車の音も“ほぼ”聞こえなくなります。

つまり、音による認知・確認ができないため、後方確認不注意による事故にもなりかねないんです。

実際、Loopのイヤープラグだけの状態でも後方から近づく車に気が付かず、驚いた経験があります。

聴覚過敏を抱える1人として、遮音に優れたアイテムを欲しい気持ちは良くわかります。

しかし、全く聞こえない空間も危険です。家の中だけとか、料理中の時だけなど、安全を確認・確保できた上で行ってください。

なお、AirPods Maxとの併用で耳内部に痛みを伴う可能性もあります。その際は使用をやめ、痛みが引かない場合は耳鼻科を受診しましょう。

聴覚過敏のお子さんにイヤープラグ等を検討している親御さんは、遮音によって不意の事故に巻き込まれないよう「周りを良く確認すること」を伝え、認識させてあげて下さい。

AirPods Max |ペアリング・操作も指1本で簡単

最初のペアリング設定を済ませば、AirPods Maxを手に取るだけで対応したデバイスが反応・接続します。

ボタンはヘッドホン右側のDigital Crownとノイズコントロールの2つだけ。

画像引用:Apple(日本)

AirPods Proは、ボリューム調整できないのが難点でした。一方のMaxでは、ボリューム調整からスキップまでお任せあれです。

Siriの呼び出しDigital Crownを長押し
オーディオの再生/停止Digital Crownを1回押す
オーディオの早送りDigital Crownを2回押す
オーディオの巻き戻しDigital Crownを3回押す
ボリュームの調整Digital Crownを回す
(時計回りで上がり・半時計回りで下げる)
アクティブノイズキャンセリング
外部音取り込みモード
ノイズコントロールボタンを1回押す
着信時のON/OFF着信時にDigital Crownを1回押す
着信拒否着信時にDigital Crownを2回押す
通話中に2件目の着信に出て1件目を保留2件目着信時にDigital Crownを1回押す
通話中に2件目の着信を拒否2件目着信時にDigital Crownを長押し
AirPods Maxでの通話からiPhone本体の通話へ変更通話中にDigital Crownを2回押す
参照:Apple(日本)
次のAirPods Pro(第3世代)が発売されるとしたら、ボリューム調整は欲しいところです。

AirPods Max|持ち運びには向かないスマートすぎるケース?

付属のスマートケースは、イヤーカップ部分を保護するだけ。ヘッドホン全体を保護してくれるワケではありません。

スマートケースに装着すると、自動的に“超低電力状態”に移行し、バッテリーを長持ちさせる効果があります。

ヘッドホンを外してから5分経過で超低電力モードへ移行するので、スマートケースを常に持ち歩く必要はありません。

フル充電から最大20時間のバッテリー容量を備え、活動時間のほとんどをAirPods Maxで過ごせるのは圧巻。また、AirPods Pro同様にクイック充電機能が備わっており、5分の充電で約1.5時間の再生が可能です。

とはいえ、AirPodsのようにポケットに入るサイズではないので、スマートケースに格納してからカバンに入れたり、専用のキャリーケースを別途購入したりなどの対応が必要になります。

私の場合、キャリーケースで持ち運ぶのは面倒なので、頭に装着しているか、首にかけて移動します。通院の時も首にかけている感じです。

“私が聴覚過敏だ”ということは認識してくれていますし、知らない人には「大きい音が苦手なんです」と一言伝えれば納得してくれます。

イヤーパッド部分は傷つきやすく保護が必須

イヤーパッド部分は金属製素材のため、傷つきやすいです。そのため、イヤーパッドの保護は必須と考えた方がいいでしょう。

私は、1,500円ほどのクリアケースを購入しました。傷防止に便利ですが、ボタン操作が若干しにくくなる難点があります。

ですが、簡単に傷がついてしまうので、綺麗な状態を保ちたいなら仕方ないのかなと…。デザイン的に美しいので気に入ってはいますが、何とも言えない部分です。

外部ポートはLightningのみ対応

AirPods Maxのポートは、Lightningのみです。つまり、オーディオケーブルを接続するためのポートがありません。Apple公式のサポートに下記内容が記載されていたので引用してご紹介します。

航空機の機内エンターテインメントシステムに接続するには、Lightning – 3.5 mm オーディオケーブルを AirPods Max に差し込み、AirPods Max を有線モードで使います。

引用元:Apple サポート

すなわち、飛行機内のサービスをAirPods Maxで楽しむには、専用のケーブルが別途必要ということです。

またこのケーブルが4,000円以上するという…。メーカーに拘らない場合、安価で抑えることはできます。

AirPods Maxは買いか?無しか?

個人的意見になりますが、私自身は“買って良かった”と満足しています。デザインの美しさや空間オーディオの凄さ。そして何より、メガネを付けながらでも疲れにくい優しいフィット感が素晴らしいヘッドホンです。

家の家事や洗濯などは、基本的に私の担当。その時に出る「カチャカチャ」の音や、ビニール袋の「ガサガサ」の音が特に苦手な私は、LoopのイヤープラグやAirPodsで対応しきれませんでした。

奴ら(嫌いな音)が突き抜けてくるからです。

現在、家ではLoopのイヤープラグ(Experience Plus)の上からAirPods Maxを付け、音楽を流しつつ対応しています。以前に比べ、嫌な騒音は大きく低減できるようになりました。自分の歩いている音も聞こえず、家族の声や換気扇の音、テレビの音も聞こえません。

それでも、奴らは突き抜けてきます。強敵。

耳鼻科の担当医から「ゆっくりでいいから、周りの音に慣れていきましょう」と言われている通り、徐々に慣れていくしかなさそうです。

上述していますが、遮音しすぎることで周囲の音に反応できなくなります。特に外出時の極端な遮音は危険です。周囲の安全を確認・確保できる環境で程よく遮音して下さい。

AirPods Maxの気になるあれこれ

私がAirPods Maxの購入を検討した際、気になった・疑問に感じた部分をまとめました。

  1. 音漏れする?
  2. ノイズキャンセリング・遮音効果は高い?
  3. 長時間付けていても疲れない?
  4. サンプル品を試聴する場所は?
  5. バッテリーの持ちはどうなの?
  6. 家ではどうやって管理する?
  7. AirPods Proと比べるとどっちが良い?

音漏れする?

ボリューム高めの状態では音漏れします。隣に座っている妻から「音漏れてる」「音楽がハッキリ聴こえる」と言われるほどです。音漏れに関して言えば、AirPods Proの方が高い印象を受けます。

ノイズキャンセリング・遮音効果は高い?

遮音に特化したイヤーマフを比べると、そこまで高くない印象です。上述していますが、Loopのイヤープラグと比較しても極端な差はありませんでした。

そもそも音楽を聴くためのヘッドホンなので、遮音を目的として考えるのもオカシイ話ではありますが…。

とはいえ、ノイズキャンセリングを初めて体感する人にとっては、その遮音効果に驚くはずです。

長時間付けていても疲れない?

疲れません。メガネをかけながらでも自然に使用でき、優しくフィットしてくれます。これには本当驚きました。重さも感じにくく、快適に過ごせます。

サンプル品を試聴する場所は?

私はApple Shopまで出向きました。片道2時間ほどですが、実際に試して納得した上で購入したかったんです。都市部の家電量販店にて、サンプル品を展示している可能性はありますが、確実なのはApple Shopでしょう。

バッテリーの持ちはどうなの?

フル充電から最大20時間の大容量なので、基本的にバッテリーで悩むことはありません。ただし、出張などに関しては、充電ケーブルとスマートケースは持っていきましょう。

ヘッドホンなので、AirPodsと比べたら圧倒的に大きいです。カバンの圧迫にもなるため、首にかけて移動できない状況が多い人には不向きかもしれません。

家ではどうやって管理する?

iPad Air4の時に使用していたタブレットスタンドを使っています。タブレットスタンドの裏側にヘッドホン用のスペースが設けられているのを思い出し、ゴミとして処分される所から再就職先が決まりました。

スタンドそのものは安定しているので、重宝しています。

AirPods Proと比べるとどっちが良い?

イヤホンとヘッドホンなので、比べるのは難しいのですが…下記のように判断しています。

  • 持ち運びが楽なのを優先するならAirPods Pro
  • 痒い所まで手く機能が欲しいならAirPods Max

AirPods Proは圧倒的に持ち運びやすく、ノイズキャンセリング効果もあって高音質の音楽を楽しめます。一方、バッテリーの持ちが長いとは言えず、落としやすい難点があるのも事実です。

Maxは持ち運びには不便で、イヤーカップが傷付きやすい難点はあるものの、楽曲の再生やスキップ、ボリューム調整が簡単です。最大20時間のバッテリーは、1日使っていても気にならないレベル。

職場や家でじっくり集中したい人におすすめです。

まとめ:高いだけの性能はある

ヘッドホンとしては超高額で、iPad Airが新品で買えるAirPods Max。私も散々悩みましたが、実際に使ってみて満足しています。

2024年には第2世代が登場するとか、しないとかで盛り上がっていますが、正確な発表は現時点ではありません。どうせ高い買い物をするのなら、第2世代まで待つのもアリです。

問題は、夏場に使えるかどうか…。真夏の炎天下でヘッドホンは暑苦しそうですよね…。

今回は以上になります。