参禅研修した人の意見を参考にしてから判断したい。
本記事は、ご覧の疑問に向けた内容になっています。
こんにちは、ミニマリストYAITAです。
作業の全てをiPadだけで行う40代ブロガーで、毎日細々と生活しています。
2023年10月、福井県にある曹洞宗の大本山永平寺へ、1泊2日の参禅体験に参加しました。
永平寺の参禅体験|坐禅に興味関心がある人なら行くべき
結論から言えば、禅(坐禅)に興味関心を持つ人は参禅体験に参加すべきです。1泊2日(2食付き)で禅の基礎をしっかりと学べ、非日常を体験できます。
坐禅にも色々な在り方はあるでしょう。曹洞宗が説く禅の在り方や考え方に感銘を受けた私は、曹洞宗の坐禅を学びました。
そして、下山後も坐禅を取り入れ、生活と心を豊かにするようつとめています。
参禅体験そのものは辛くない
参禅研修のメインは坐禅です。1泊2日の間に4回(1回の坐禅は約20〜40分)の坐禅を行います。もちろん、坐禅中に足が痺れたり、痛くなったりしますが、研修そのものはつらいものではありません。むしろ、色々な気づきを得られます。
坐禅中はもちろん、私語できる環境にありません。会話ができるのは、宿泊部屋とエレベーター前のロビー、座禅講和、茶話会くらいです。トイレ・お風呂・食事・移動中は基本的に無言。お話し好きの人や、つい声に出てしまう人には辛いかもしれません。
では、何に気づくのか?といえば、ひとつ一つの行いに集中することの大切さです。
マルチタスクが当然な時代から修証一如を学ぶ
曹洞宗の修行は、生活ひとつ一つの行いを丁寧に行うことであり、修行の中に悟りがあるという教え。これを修証一如(しゅしょういちにょ)といいます。
例えば、坐禅をするときは坐禅だけに集中する。作務(さむ・作業のこと)のときは作務に集中する。食事のとき、トイレのとき、お風呂のときなど、ひとつ一つの行いに集中することを重視しています。
お坊さんの修行と言えば、滝行であったり、高い崖に登ったりと荒業をイメージする人もいるでしょう。
曹洞宗は、そのような荒業を行わないものの、普段の何気ない生活全てが修行といえます。こう書くと、ある意味では荒業より辛いものかもしれませんね。
ひとつの行いに集中して見えてくるもの
永平寺の生活で行うすべての行いが修行であり、シングルタスクに集中するからこそ見えてくるものがあります。
例えば食事の味です。私たちは、テレビやスマホ画面を観ながら何気なく食事を摂っていないでしょうか。
今食べている食事を作ってくれた人、食材を運んでくれた人、食材を作ってくれた人、1回の食事だけでも沢山のご縁があって成立します。
食事をいただけることに感謝し、食べることに集中すると、今までの食事とは違う“美味しさ”に気づかされます。
参禅研修では薬食(やくせき・夕食)と小食(しょうじき・朝食)を頂けますが、食事に集中するため、私語は禁止。
また、周囲のペースに合わせて食べ進めるといったペース配分、食事作法、箸の持ち方や置き方、お椀の持ち方など、食事だけでも様々な作法が挙げられます。
食事は精進料理です。お肉や卵といった食材を使いませんが、食材ひとつ一つの味が鮮明に感じられます。
個人的には、小食に出されたごま塩の味が忘れられず、最近の食事にごま塩が欠かせません。
永平寺参禅研修(修行体験)のスケジュール
私が参禅した際のスケジュールです。上山してすぐ1回目の坐禅が始まります。
1日目 | 2日目 | ||
15:00 | 上山(到着) | 4:00 | 起床・洗面 |
15:30 | 坐禅① | 4:20 | 坐禅③ |
16:20 | 入浴 | 5:30 | 朝課 |
17:30 | 薬石(夕食) | 終わって | 諸堂案内 |
18:30 | 坐禅講和 | 終わって | 小食(朝食) |
19:40 | 映画 | 終わって | 坐禅④ |
20:20 | 坐禅② | 終わって | 茶話会 |
21:00 | 開枕(消灯) | 9:00頃 | 下山(出発) |
15時までには上山して受付を済ませ、座禅しやすい服装に着替えておいてください。なお、部屋は相部屋で、大きな広間に案内されます。もちろん男女部屋は別です(フロアは同じ)。
永平寺の修行僧(雲水)は僧堂にて坐禅を行いますが、私たちは僧堂を模した僧堂部屋へと案内されます。なので、七堂伽藍の僧堂には入れず、雲水さん達と一緒に坐禅は行えません。
坐禅
担当雲水さんの案内で専用僧堂についた私たちは、座布(ざふ)が置かれた畳半畳ほどのスペースの前に立ちます。坐禅のスペースに辿り着くまでも修行です。僧堂で私語は許されず、僧堂に入る姿勢(叉手:しゃしゅ)を守り続けます。
雲水さんの指導のもと、まず自分の座るスペースに向かって合唱・一礼(隣位問訊:りんいもんじん)、合唱姿勢の後ろを振り返り、再度一礼(対坐問訊:たいざもんじん)。
スリッパを脱いで足元に揃え、座布に腰をかけたら、座布に座りつつ壁の方へ180度回転させます。
曹洞宗の座り方は、結跏趺坐(けっかふざ)・半跏趺坐(はんかふざ)・日本坐(にほんざ)の3種類です。
坐禅のやり方について、分かりやすく解説した動画がありますので共有します。
禅活チャンネルとは、曹洞宗の僧侶達によって“禅を活かしてちょっといい1日を”をテーマに活動しているチャンネルです。永平寺での修行体験談や、禅の考え方、食事の考え方など勉強になります。
坐禅は4回
参禅体験では4回の坐禅を行います。時間は上述の通りで、15:30、20:20、4:20、7時頃です。
1回の時間を計測していませんが、おそらく20分〜40分。基本はー炷(いっちゅう)で、お線香が尽きるまでといわれます。
警策は打たれる
坐禅中に居眠りをしたり、法界定印(ほっかいじょういん:手の形)が崩れたりすると警策が入ります。警策とは、坐禅でイメージする「木の板で叩かれる」というアレです。
参禅者15名、坐禅4回の中で10回以上も警策音が鳴り響きました。特に多かったのは2日目の朝4時と7時の坐禅。4時起きに慣れていない人にとっては辛いですよね。
また、警策は自ら打たれることも可能です。法界定印を解き、合掌の姿勢で待っていると、右肩に警策を置かれますので、合掌姿勢のまま左前の方へ体を傾けてください。
食事
上述の通り、薬石と小食をいただけます。雲水さんの場合、薬石は一汁二菜、小食ではお粥と梅干し・タクアンとごま塩のみが通常です。ですが、参禅体験の私たちは豪華な薬石(一汁七菜)でした。
食事前には“五観の偈”という短いお経をお唱えし、無言で食べます。五感の偈に関しては、曹洞宗のサイトより引用してご紹介します。
一つには功の多少を計り 彼の来処を量る
二つには己が徳行の 全欠を忖って供に応ず
三つには心を防ぎ過を離るることは 貪等を宗とす
四つには正に良薬を事とするは 形枯を療ぜんが為なり
五つには成道の為の故に 今此の食を受く
引用元:曹洞宗_SOTOZEN-NET
「美味しい」とも言えないというのが、少し残念ではありました。けれど、これも修行です。
東司(トイレ)
宿泊フロアに広いトイレと洗面所が設置されています。入口前には不浄なものを浄化すると言われる“烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)”が祀られ、トイレに行くとき、出た後には烏枢沙摩明王に向かって合掌・一礼する決まりです。
なお、下記は“洗浄の偈”になります。
蠲除穢汚(けんじょえお)無婬怒癡(むいんぬち)
浴室
10人位が入れそうな大きな浴槽と、15人ほど同時で使える洗浄スペースの設けられた銭湯的な場所でした。
お湯も温かくて気持ちよかったです。
私以外の参禅者は男性9名でしたので、私は後半組で入ることに。広い浴槽をしばらく堪能し、体の疲れを癒しました。
なお、下記は“入浴の偈”です。
心身無垢(しんじんむく) 内外高潔(ないげこうけつ)
朝課(朝のおつとめ)
朝の坐禅が終わると、その足で法堂(はっとう)へ向かい朝のおつとめに参加します。記憶は曖昧ですが、以下のお経をお唱えしました。また、ご焼香する機会もあります。
- 般若心経
- 宝鏡三昧
- 五十七仏
- 妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈
- 大悲心陀羅尼
- 妙法蓮華経如来寿量品偈
- 消災妙吉祥陀羅尼
法堂へ集う僧侶達の読経は、圧巻のひと言です。
約1時間ほどのお勤めを終えると、指導役の雲水さんに促され諸堂案内に。
茶話会(さわかい)
最後の坐禅を終えると、帰る支度をした後に茶話会の開始。ここで参禅体験の感想文を書き、指導員和尚との対談ができます。
それぞれが簡単な自己紹介をし、なぜ参禅体験に来たのか?何を得られたのか?の発表も行います。
9時になると全員で玄関まで移動し解散。
なお、参禅体験で使用したお箸、経本や付録などを貰えました。
私が永平寺の参禅研修に参加した理由
私の目的は1つ。本当の坐禅とは何か?を学ぶためでした。本当の坐禅を学び、心を穏やかにしたかったからです。
「あなたには心の休息が必要です」
2022年11月末に精神を壊し、聴覚過敏を患った私は医師から心を癒すよう諭されます。あと「運動しましょう」とも言われました。
“心の休息”と言われてもピンと来ず、模索した私は坐禅の概念に出会います。“ヴィパッサナー瞑想”という言葉を聞いた人は多いかもしれません。
Web上の情報を集め、見様見真似で生活に取り入れたのが2023年の2月頃。
しかし、坐禅を始めても腑に落ちない自分がいました。なぜなら「正しい坐禅とは何か?」の答えが分からなかったからです。
正しい姿勢・正しい呼吸・正しい禅の向き合い方・頭に浮かぶ色々な疑念の処理など、Web上で得られる情報では納得できませんでした。
坐禅の時間を仕事に充てた方が効率良いのでは…?とも感じたほどです。坐禅することに疑念を抱くようになっていく自身に気づきます。
「このままではダメだ。ちゃんとした所で坐禅を学び、自分の生活に取り入れたい」
調べたところ、曹洞宗・黄檗宗・臨済宗の存在、曹洞宗の大本山が福井県にあると知った私は早速永平寺にアクセス。参禅研修を行を知り、即決しました。
正しい作法を学べた
私の目的である「正しい坐禅」を学べただけでなく、食に関すること・生きていることへの有り難さに気づけた参禅体験でした。
やはり、教えてくれる人が側にいるというのは、有難いことですよね。
上でご紹介している動画にもあるとおり、座布は座布団や毛布などで代用可能です。ですが、参禅体験での感覚を忘れないためにも座布を購入しました。毎日、起床後と就寝前に坐禅をしています。
参禅体験前の疑問あれこれ
私が参禅体験前に「ん?」と感じた部分を紹介、共有します。
1泊2日で1人10,000円です。以前は4泊ほどの参禅もあったそうですが、今はなくなっています。
坐禅の際、足を組みやすく、派手ではない服装が望ましいです。ジャージやスウェットなどがあると良いでしょう。男性は作務衣を着用している人が多い印象でした。
入口右手の入館料を払う所で「今日の参禅体験者に申し込んだ者だ」と言えば、専用の入口へ案内されます。この際、一般入館者用の費用(500円)は負担しなくてもOKです。
開始が15時なので、遅くても14時半頃には受付を済ませると良いでしょう。私は福井県に前日入りしていたので、13時半頃には受付を済ませました。
以下の物は忘れずに準備してください。
- 坐禅用の服装
- 洗面用具
- バスタオルとハンドタオル
ホテルではないので、アメニティグッズやタオル・バスタオル、パジャマなどは用意されません。布団とシーツは準備されますが、就寝の準備は自分で行います。
もちろん、後片付けも自分です。これも修行。
集団行動を取ることも修行の一環なので、基本的に相部屋です。
男部屋の場合、だいたい40畳ほどのスペースがありました。
私は前日に“東喜家”にて宿を取りました。ただ、永平寺の参拝時間に合わせて周辺のお店も営業するため、10時〜17時以外は店が開いていません。なので、仮に近くで飲みに行きたいとか、観光気分で行くと寂しいかもしれません。
私は空腹時の対応としてカロリーメイトを準備しておきました。
人によりますが、ー炷もすると足が痛くなってきます。4回目の坐禅で警策が多かったのは、足が痛かったことによる集中不足が原因ではないかなと。
参禅体験というのもあってか、自ら打たれたからか、音に比べて痛くはなかったです。
レビューするにあたり、私も警策を打たれてみたいと考えていましたが、3回目の坐禅まで打たれませんでした。なので、4回目の途中で“あえて”警策をお願いして打たれています。
とはいえ、シーンとした空気の中で「パーン!」と警策音が鳴り響くので、その音に驚いていました。
とてもとても充実した体験でした。またぜひ行きたいと考えています。今度は真冬の時期に行って、極寒の永平寺を堪能してみたいです。
やはり非日常を味わえたことで、食や生きることの有り難さを感じられたことです。
玄関の靴やスリッパを揃える、部屋を掃除する、食事に集中する、ながら作業をしないというシングルタスクに切り替えたこと。また、毎日に坐禅を行うことで心を豊かにしています。
ひとつ一つの行動を丁寧に行う。
すごく簡単なことなのに、奥深さがあると気づきました。
まずは永平寺参禅係に連絡して日程の予約を取りましょう。永平寺から申し込み用紙が届きますので、必要事項を記入して返送。確認の連絡が入った時点で予約完了です。
私はバスに乗って永平寺へ向かいました。福井駅からバスで約30分。最寄りのバス停から徒歩10分程度です。バス停からそれなりに歩きますので注意してください。
また、バスは頻繁に運行していない点にも注意しましょう。
今回は以上です。